投稿作品 ~ 過去作品 Vol.17

ここは過去作品Vol.17です。(2016/7/8までの投稿)
だいたい50作品くらいを目安に、ページを分けていきます。

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(スリッパさんの作品)

(2016/7/8)

養老もうろたえた? 暦を見よ、応えたろう朦朧よ
(ようろうもうろたえたこよみをみよこたえたろうもうろうよ)
竜宮から帰った浦島太郎なみ

男性がばれ、安心か? もしも関心あれば凱旋だ
(だんせいがばれあんしんかもしもかんしんあればがいせんだ)

「なんだ!」とやって来る母さんかんかんさ、明るく「徹夜!」と旦那
(なんだとやってくるかあさんかんかんさあかるくてつやとだんな)
PCの持ち帰り仕事もあるわけよ

滴り置かば、チャイナに無い茶葉、香り立たし
(したたりおかばちゃいなにないちゃばかおりたたし)
中国人観光客が驚くことの一つに、日本のお茶の多様性と品質の良さ

来る影かすまず、活気ある秋津、数増す影軽く
(くるかげかすまずかっきあるあきつかずますかげかるく)
秋津=とんぼ。山上の水辺で生まれやがて群れですいすいと里に下りてくる

二人飲めば、つい可愛い男、言う成りな、愛い事お言い、若い燕乗りタフ
(ふたりのめばついかわいいおとこいうなりなういことおいいわかいつばめのりたふ)

性煮立つ形、かわいい女、諍いか、災難お言い、分かちたかった苦さ
(さがにたつかたちかわいいおんないさかいかさいなんおいいわかちたかったにがさ)

PC持ち帰り仕事で徹夜なのに明るくふるまっている旦那さんは、なんか切ないですねー。秋津=とんぼは、何かの本で見たことがあったような気もしますが、すぐには分かりませんでした。勉強になります。最後の2つは少し成人テイストで、あまりそちら方面が濃くなると(エスカレートすることもありがちなので、そうなる前に)掲載をどうするか判断させて頂く場合もありますが、今回はセーフです。

(2016/7/5)

安く買う、ろくでなしの品で、苦労隠すや
(やすくかうろくでなしのしなでくろうかくすや)

課したノルマ未達など!得々と怒鳴った身「〇!」の確か
(かしたのるまみたつなどとくとくとどなったみまるのたしか)
勤めていればこんな厄日もある

再会は意外なり、若く変わりないガイ、徘徊さ
(さいかいはいがいなりわかくかわりないがいはいかいさ)
ガイ<英語のguy>=男

熱帯夜でしょうもない、且つ厄介な猛暑で、灼いた常
(ねったいやでしょうもないかつやっかいなもうしょでやいたつね)
平常体温を軽く超す日が続く

酔いな、もう焼酎からかう中傷も無い世
(よいなもうしょうちゅうからかうちゅうしょうもないよ)
以前は焼酎といえば下等な飲み物の代名詞でしたよ

今回はテーマものではないところを、頂きました!自然な感じでとても良いと思います。どれもストーリー性があり、(回文の出来だけでなく)内容にも納得させられますね。4つ目は、最近の熱帯夜の感じがよく出ていますー。


(むなさんの作品)

(2016/7/4)

監禁厳禁か
(かんきんげんきんか)

流布で、ここで振る
(るふでここでふる)

活性炭大切か
(かっせいたんたいせつか)

鍵捨てすぎか
(かぎすてすぎか)

良い喧嘩、無関係よ
(よいけんかむかんけいよ)

余談でする留守電だよ
(よだんでするるすでんだよ)

ナス、大根、濃い!出すな!
(なすだいこんこいだすな)

現金?ゲ!
(げんきんげ)

今回も、短くてズバッと来るものをありがとうございます!特に短い「現金?ゲ!」が一番インパクトが強いかもしれません。普通は現金で引き出さないくらいの金額なんでしょうね。


(スリッパさんの作品)

(2016/7/3)

伊予でマドンナに、『坊っちゃん』、ファン、茶壷に何度まで酔い
(いよでまどんなにぼっちゃんふぁんちゃつぼになんどまでよい)
夏目漱石作

暗い枷退くか、『智恵子抄』、情緒越え、知覚の世界、楽
(くらいかせのくかちえこしょうじょうしょこえちかくのせかいらく)
高村光太郎作

燦然かも、巻『万葉集』凝集、四万歌も完全さ
(さんぜんかもかんまんようしゅうぎょうしゅうよんまんかもかんぜんさ)
大伴家持編纂に携わったか

さいわいに一徹がち、『杜子春』くん、趣旨と違って、ついに祝いさ
(さいわいにいってつがちとししゅんくんしゅしとちがってついにいわいさ)
芥川龍之介作

見た屍骸、レイテ島の『俘虜記』書くか、帰旅不能とて、遺霊臥した身
(みたしがいれいてとうのふりょきかくかきりょふのうとていれいがしたみ)
大岡昇平作。但し帰旅は造語

跳ね合ったかに子供たち、『蜜柑』賛歌、満ちたも何処にか発つ姉は
(はねあったかにこどもたちみかんさんかみちたもどこにかたつあねは)
芥川龍之介作

極楽かも、見ろ『蜘蛛の糸』だ奇跡だと、井の目論見も、斯く落伍
(ごくらくかもみろくものいとだきせきだといのもくろみもかくらくご)
芥川龍之介作

今こそ来、『君の名は』と花の身、聞き損まい!
(いまこそききみのなはとはなのみききそこまい)
菊田一夫原作、昭和の人気ラジオドラマ

じき死期、諫言し、立つ『河童』使った箴言、書きし記事
(じきしきかんげんしたつかっぱつかったしんげんかきしきじ)
芥川龍之介作、彼はほどなく自死

常とて肝入る深さ、『歳時記』の記事、いささか古いも来て、と熱
(つねとてきもいるふかささいじきのきじいささかふるいもきてとねつ)
歳時記を編む出版社の人々に感謝

詩と詩で満たした俳諧『猿蓑』見る、再会果たした身、弟子と師
(しとしでみたしたはいかいさるみのみるさいかいはたしたみでしとし)
巻頭「初しぐれ猿も小蓑をほしげなり」の芭蕉発句による命名の俳諧集

好い子知り、高らかや『刺青』愛せし輩、語りし恋よ
(よいこしりたからかやしせいあいせしやからかたりしこいよ)
谷崎潤一郎作、彫物師の物語

いま、実家を解明よ『斜陽』もう止しゃよい名家を、活字舞い
(いまじっかをかいめいよしゃようもうよしゃよいめいかをかつじまい)
太宰治作、津軽金木の出身

緋むらさきの『真珠』の色、痛感か、うつろいの殉死の来、去らむ日
(ひむらさきのしんじゅのいろつうかんかうつろいのじゅんしのきさらむひ)
坂口安吾作、S18・12・8真珠湾内の特殊潜航艇の若者を書いている

前回も頂いた、小説(とその他の作品)シリーズ。『~』が作品の題名になっています!多岐にわたっていますねー。太宰や漱石と、一人の作家に絞って作品を網羅していくのも面白そうで、当サイトの「テーマ別回文」で取り上げるのもいかな、と思いました(すぐに、という予定はないのですが…)。坊っちゃんの登場人物(赤シャツ・山嵐・うらなり…)というのも良いかもしれないです。


(むなさんの作品)

(2016/6/26)

カンガルー放る眼科
(かんがるーほーるがんか)

猫は作為で、行くさ箱根
(ねこはさくいでいくさはこね)

象、栗はやはり食うぞ
(ぞうくりはやはりくうぞ)

駄目かいいか?いい亀だ
(だめかいいかいいかめだ)

柄と言い分全部いい虎が
(がらといいぶんぜんぶいいとらが)

きつねバネ付き
(きつねばねつき)

ライオンかイカさ、快感、おいら
(らいおんかいかさかいかんおいら)

猿、カラスすら狩るさ
(さるからすすらかるさ)

鳩にワニとは・・・
(はとにわにとは)

余談パンダよ
(よだんぱんだよ)

悪いが、キツツキが居るわ
(わるいがきつつきがいるわ)

出ぬイノシシの犬で
(でぬいのししのいぬで)

夜、熊また寝たまま来るよ
(よるくままたねたままくるよ)

虫の大会楽しむ
(むしのたいかいたのしむ)

居たネズミを見ず寝たい
(いたねずみをみずねたい)

私、カバと人化かしたわ
(わたしかばとひとばかしたわ)

動物シリーズを頂きました!1つの動物だけでなく、ライオンとイカ、猿とカラスのように思いがけない2つが共存しているのもあり、楽しいです。最後の「私」はもしかしてタヌキでしょうか?だとしたら、タヌキ・カバ・人の3者共存ですね。私が一番気に入りましたのは(動物の名前は入っていないですが)「虫の大会楽しむ」です。素晴らしい!


(スリッパさんの作品)

(2016/6/26)

「好し!」飯に、鮭腹子の香り盛る、盛岡の子らは、けさ煮しめしよ
(よしめしにさけはらこのかおりもるもりおかのこらはけさにしめしよ)
腹子=魚介の卵を塩漬けにし味付けしたもの=盛岡の駅弁最高!

軽く手に、煮干しつみ取ると満つ、思慕に似てくる香
(かるくてににぼしつみとるとみつしぼににてくるか)
煮干しのだしの味噌汁は、おふくろの味

達観だ、立つや時計手で示し、「出て行け!」とやった団、勝った
(たっかんだたつやとけいてでしめしでていけとやっただんかった)
駅伝レースは采配が面白い

「わたし、曲げは一徹無い!」と醒めた目、聡いなって、つい励ましたわ
(わたしまげはいってつないとさめためさといなってついはげましたわ)
彼の味方の妻が言う

『金閣寺』読むので、カツにレモン盛れ、ニッカで飲む夜、字句歓喜!
(きんかくじよむのでかつにれもんもれにっかでのむよじくかんき)

細こいと、蟹鍋の端に、具消ゆる『雪国』、名は述べ何か問い駒子
(こまこいとかになべのはなにぐきゆるゆきぐになはのべなにかといこまこ)

才勝つ、やるせない『晩年』かも観念、倍成せる厄介さ
(さいかつやるせないばんねんかもかんねんばいなせるやっかいさ)

最後の3つは、『~』が小説の題名で、作者はそれぞれ三島由紀夫、川端康成、太宰治ですね。金閣寺は(小説の)イメージとのギャップが面白く、雪国は世界観をそのまま再現している感じです。晩年は、「やるせない」「観念」とかいう表現が太宰らしく、回文全体のトーンも太宰の作品によく見られるユーモアの世界と通じていると思いました。


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